逃げ道を
菜根譚には「悪者やへつらい者をなくすには、一筋の逃げ道を空けておく」、孫子には「包囲した敵軍には逃げ口を残しておけ」とあります。
明治35年冬、陸軍の八甲田山雪中行軍の大遭難事件は、予想を超えた所々の原因がありますが、より根本的な問題は軍隊が運命的に持つメンツだったと思われます。
成功させるために、冷静な判断を奪ってしまい、初めから自分の退路を断っていたのではないでしょうか。
退路を断って頑張ることもときには大切ですが、それにも限度があり、逃げ道は必要な時もあります。
逃げ道は自分だけではなく、他人や敵についても考慮しなければなりません。
大阪大学 大学院 教授 湯浅邦弘 (Fole所載)
|